急性期リハの教科書

〜急性期リハに必要とされる知識を分かりやすくお伝えしていきます〜

理学療法士が抑えておくべき心不全の知識1.心不全とは

 

こんにちは!ヤマトせPTです。

 

前回は

血圧の基礎と、血圧が変動することの解釈を「前負荷」と「後負荷」の話を中心に解説しました。

(前回記事をまだ読まれていない方は、こちらから読んで、当記事を読むことをおすすめします)

 

今回の記事では、理学療法士(あるいは作業療法士)が知っておくべき心不全に知識と、臨床像の捉え方を中心に複数回に分けてテーマ毎に解説していきます。

 

 

【この記事の目次】 

心不全とは 

まずはじめに、心不全とは

 

心臓の器質的あるいは機能的障害により心臓のポンプ機能が低下し、心拍出量の低下や末梢循環不全、肺や体静脈系のうっ血をきたす病態

病気が見える vol2. 循環器 P56

 と定義されています。

 

そして、心不全とは何らかの心臓の器質的な変化などにより、心臓のポンプ機能が低下する「病態」であり、「病名」ではないとされています。

 

なので、心不全の状態になっている患者さんには、何かしらの先行する心疾患(高血圧、心房細動、急性心筋梗塞後 など)があるということです。

 

心不全と右心不全

心不全には、左心室の機能低下により引き起こされる「左心不全

心室の機能低下により引き起こされる「右心不全」があります。

 

両者とも、互いに影響しあい、治療が長引けば最終的には左心不全と右心不全を併発する可能性も十分に考えられます。

 

心不全について 

心不全は文字通り、全身へ血液を送り出すための左心室が機能不全に陥り、全身へ十分量の血液を拍出出来なくなった状態を言います。 

 

心不全の主な症状は、心拍出量低下によるものと、肺うっ血によるものの2種類があります。

 

心拍出量低下による症状

・動機

・低血圧

・冷汗

・四肢チアノーゼ

・乏尿(腎虚血)

 

肺うっ血による 症状

 ・呼吸困難症状

→頻呼吸、呼吸苦、喘鳴、起坐呼吸など

・肺水腫(肺うっ血が進行したもの)

 

などがあります。

心不全について

心不全は、左心不全に続発して起こることも多く、右心梗塞などの、右心系のみに影響する疾患後などに生じる可能性もあります。

 

心不全によって引き起こされる症状は、基本的に右心房に還る大静脈より以前の問題となります。

 

心不全による症状

軽静脈怒張

・肝胆道系酵素上昇(肝胆道系の機能低下)

 ・肝腫大、腹水

・浮腫

・体重増加

 

などがあります。

 

 

 

本日は以上になります。

 

次回は、実際に心不全の状態では、身体にどんな影響が出るかを勉強していきたいと思います!!

 

血圧について考える

こんにちは、ヤマトせPTです。

 

皆さん、臨床で血圧が上がった や 下がったなどを感じる場面はあると思いますが、

 

実際に何故上がったのか、あるいは何故下がったのかを考えたことはありますか?

 

今回の記事では、血圧が上がったり下がったりする仕組みと、それが身体にどういった影響を与えるのか

 

ということを一緒に勉強していきたいと思います!

 

参考にする教材はこちらなど!

 (基本的な循環器の解剖生理や病態についてもイラストを交えて分かりやすく解説してくれている1冊です。初学者から急性期リハに関わる方であれば必須とも言えるのでオススメです)

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はじめに

はじめまして、理学療法士のヤマトせ です。

初めての投稿になりますので、このブログを通して、自分がどういった情報を発信し、どういうことをしていきたいのかを書いていきたいと思います。

私は理学療法士(以下、PT)として、7年間、急性期の病院で働いています。そこでは、様々な病気を発症してすぐの方に対してリハビリを行うことになります。

リハビリは、多くの方がイメージするように「機能回復」や「生活動作の向上」を目的としています。しかし、多くの教科書や参考書には「負の効果」が書かれていない現状が見受けられます。

この「負の効果」をどれだけ抑えられた状態で、イメージ通りの「正の効果」を提供できるかが『リスク管理の肝』になってくる、と個人的に考えています。

以下に、質問を設けます。

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あなたはどちらの薬を飲みたいですか?

A)あなたが苦しんでいる病気がすぐに治る薬。

B)あなたが苦しんでいる病気が、少しだけ良くなる薬

 

・・・ここまでであれば多くの方がAを選ぶでしょう。では、情報を追加します。

 

A)あなたが苦しんでいる病気がすぐに治る薬。1粒50000円、1粒あたり寿命が1週間縮まる。20粒飲む必要あり。

B)あなたが苦しんでいる病気が、少しずつ良くなる薬 1粒 500円、服薬しても寿命の変化なし。40粒飲む必要あり。

 

極端な例ではありますが、ハイリスクハイリターン下でのリハビリではAの薬を投与しているのに似た状況になりかねません。なんなら、方法によっては病気自体も治らない可能性すらあります。目先のメリットに囚われすぎず、自分が行うリハビリ内容の「副作用」を常に意識し、治療効果と天秤にかける必要があります。

私は、急性期患者に対して行うリハは、患者の治療(原疾患の治療を含む)をサポートすることが大前提と考えます。そのためには、患者の治療が進むように(あるいは、医師の治療方針に沿うように)介入する方法を選択する必要があります。個人的な考えですが、理学療法士は「リハビリ内容」という薬を患者さんに提供し、その用法用量を調整する「薬剤師」のような立ち振舞が必要になると考えています。

そして、私自身は急性期で働くPTとして介入するからには、患者の病気自体を良くできる「薬」のような存在になりたいと思っています。

 

このブログでは今後、自分の介入が「いい薬」になるように、リスク管理に必要な知識や技術を情報共有として発信していきたいと思っています。

この4月から新入職員となった新人さんや、急性期病棟へ転職・異動された方は漠然と「リスク管理」というワードに実態を掴めていない現状が多いと思います。1つずつ、リスク管理能力を武器に変え、最高の盾を手にした状態で患者さんへのアプローチを行なっていけるための情報発信していきますので、引き続きのフォローをお願いいたします。